終わり

どんなものにも 始まりがあり 終わりがあるという 宇宙にビッグバンという始まりがあるのならば 宇宙の終わりもきっとある そんなふうにして 宇宙の終わりのことを考える  偽の真空から真の真空に移る時に  莫大なエネルギーが放出され  偽の真空は崩壊し  宇宙は終わる 宇宙が終わるなら 地球も終わる 宇宙が終わるよりも ずっと前に終わるのか もしかしたら宇宙と一緒に終わるのか そんなことを想像しながら 地球の終わりのことを考える  偽のマグマから真のマグマに移る時に  莫大なエネルギーが放出され  偽のマグマは崩壊し  地球は終わる 地球が終わるなら 人間も終わる 人間という不思議な存在にも やっかいな感情というものにも 終わりが必ずやって来る そんなふうに思いを巡らしながら 人間の終わりのことを考える  偽りの感情から本当の感情に変わる時に  感情は心のなかから流れ出し  偽りの感情は消え  人間は終わる ありもしない頭脳でもって わかるはずのないことを ちょっと深く考えてみる  真の真空のなかに 私の知る宇宙がないように  真のマグマのなかに 私の知る地球はなく  本当の感情のなかに 私の知る人間はいない そうだ  私の知る宇宙だけが すべてではないように  そして 私の知る地球だけが すべてではないように  私の知る人間が すべてではなく  偽りも真実も 確かなものではない 確かなのは 始まりがあれば 終わりがあるということ そして すべてのものに終わりがあるということ 終わりがあるから愛おしく 終わりがあるから美しく 終わりがあるから輝いている